2018年01月05日
がじまん第373号
琉歌を始めました!
高等学校の授業で『万葉集』の「君が行く道の長路を繰り畳め焼き滅ぼさむ天の火もがも」(狭野弟上娘子)という歌を習った時、沖縄にもこれに勝るとも劣らない歌があると言って紹介されたのが「恩納岳あがた里が生まり島森もおしのけてくがたなさな」という、恩納なべの歌だった。そして、それが琉歌との初めての出会いだった。老婆心ながら二つの歌の説明をすると、「恋人が行く道を手繰り折り畳んで焼き滅ぼすような天の火があれば」と「恩納岳の向こうの愛しい人の村を邪魔な山を押しのけてこちらに寄せたい」というのである。どちらもスケールが大きい、愛の歌である。
それから大学の卒業レポートに琉歌二十首の読みと解釈を書いたときに、島袋盛敏著『琉歌集』等いくつか歌集を読んだ。
そして、五十年の歳月は流れ、二〇一四年一月、「御茶屋御殿琉歌会」が発足(講師・平山良明 歌人)したので入会。二年ほどは資料により先人の歌を学習した。主な資料は、沖縄最古の辞書といわれる『混効験集』(七首収録)、『大島筆記』の五十六首、『校註琉歌戯曲集』(伊波普猷編著)、『琉歌全集』(島袋盛敏・翁長俊郎共著)等から抜粋、鑑賞・検討を終えた。
二〇一六年十一月から会員の作品を題材にして勉強することになり、一首から二、三首提出することになった。二、三日悶々と、清水の舞台に立った状態。そんな時、ふっと三が日に行った辺野古の砂浜に広がる昼顔とフェンスが浮かんだ。まず「八・八・八・六」の形式を踏まえ言葉を探し、自分が言おうとしていることが表現されているか推敲していった。次がその第一作。
・辺野古白浜ぬ ひるがをの花や
囲い隔みらり 自由やねらん
基本の形式を押さえ、素材を見つけて詠む。生活の中の出来事や季節の変化・風物など、先人の歌に学びながら沖縄を詠みたい。
・若夏の野山 風も涼涼と
あん清らさ咲かち 伊集の花や
・八月の暑さ 凌でぃ凌がら
照りちきる太陽も 恨みぶさぬ
・蜻蛉飛び来りば 朝夕吹く風も
肌もちのゆたさ 秋になとさ
・さやか照る月の 曇りねんごとに
互に肝合わち 浮世渡ら
琉歌作りを始めたばかりで、先輩の方々からは噴飯ものかも知れないが、「千里の道も一歩から」でご批評、ご指導を頂き、精進していきたい。
謝花秀子
高等学校の授業で『万葉集』の「君が行く道の長路を繰り畳め焼き滅ぼさむ天の火もがも」(狭野弟上娘子)という歌を習った時、沖縄にもこれに勝るとも劣らない歌があると言って紹介されたのが「恩納岳あがた里が生まり島森もおしのけてくがたなさな」という、恩納なべの歌だった。そして、それが琉歌との初めての出会いだった。老婆心ながら二つの歌の説明をすると、「恋人が行く道を手繰り折り畳んで焼き滅ぼすような天の火があれば」と「恩納岳の向こうの愛しい人の村を邪魔な山を押しのけてこちらに寄せたい」というのである。どちらもスケールが大きい、愛の歌である。
それから大学の卒業レポートに琉歌二十首の読みと解釈を書いたときに、島袋盛敏著『琉歌集』等いくつか歌集を読んだ。
そして、五十年の歳月は流れ、二〇一四年一月、「御茶屋御殿琉歌会」が発足(講師・平山良明 歌人)したので入会。二年ほどは資料により先人の歌を学習した。主な資料は、沖縄最古の辞書といわれる『混効験集』(七首収録)、『大島筆記』の五十六首、『校註琉歌戯曲集』(伊波普猷編著)、『琉歌全集』(島袋盛敏・翁長俊郎共著)等から抜粋、鑑賞・検討を終えた。
二〇一六年十一月から会員の作品を題材にして勉強することになり、一首から二、三首提出することになった。二、三日悶々と、清水の舞台に立った状態。そんな時、ふっと三が日に行った辺野古の砂浜に広がる昼顔とフェンスが浮かんだ。まず「八・八・八・六」の形式を踏まえ言葉を探し、自分が言おうとしていることが表現されているか推敲していった。次がその第一作。
・辺野古白浜ぬ ひるがをの花や
囲い隔みらり 自由やねらん
基本の形式を押さえ、素材を見つけて詠む。生活の中の出来事や季節の変化・風物など、先人の歌に学びながら沖縄を詠みたい。
・若夏の野山 風も涼涼と
あん清らさ咲かち 伊集の花や
・八月の暑さ 凌でぃ凌がら
照りちきる太陽も 恨みぶさぬ
・蜻蛉飛び来りば 朝夕吹く風も
肌もちのゆたさ 秋になとさ
・さやか照る月の 曇りねんごとに
互に肝合わち 浮世渡ら
琉歌作りを始めたばかりで、先輩の方々からは噴飯ものかも知れないが、「千里の道も一歩から」でご批評、ご指導を頂き、精進していきたい。
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん