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2019年02月10日

がじまん第398号-2(Essay 400)

島あっちぃ(2)

南ふう

 降り続く雨の中、仲間でレンタカーを借りて、狭い小浜島を回る。畑の縁に、地味で目立たない石碑があった。表面の文字もかすれて読めない。とりあえず写真を撮り、帰宅してから写真加工ソフトでコントラストを付けるなどし、何とか読める文字だけ拾って、あとは……で繋ぐと、次のようになる。

 節さだめ石
 この石……………穴が……島の人々はこの石の穴と星…………方角…によって農作物の作付時期等を定めたと伝えられている

 どうやら石碑の隣にある石が星見石、どこかに穴があって、その穴から星を見て農作物の作付け時期を定めていたようだ。説明板の設置が望まるところだ。
 また別の場所では、生い茂る雑草で視界が遮ぎられている展望台があり、どうして草を刈らないのだろうかと、皆で不平を言ったりした。
 13日早朝、雨は止んだものの、空は雲に覆われていた。が、そこはネイチャーガイドのカニさん。大岳の頂上までヘッドライトを付けて真っ暗な遊歩道を歩きながら、夜しか見ることのできない生物を見つけ、その生態を説明してくれた。ソウシジュの枝では蝶たちが羽根を閉じてぶら下がり睡眠中。鳴き声でリュウキュウコノハズクを見つけたカニさん、声を真似て呼応させる。地面に蛍を見つける。野生化したクジャクが木の上で眠っている……。星空は見えなかったが、楽しく有意義な時間を過ごした。
 日の出を期待するも残念ながら雲に覆われたまま。しかし小浜島は、大岳の頂上から眺めると、八重山諸島の島々がほぼすべて見えるそうだ。私が食いついてしまった解説は、鳩間島の灯台の灯りを見ながら聞いた、またまたマニアックな話。灯台には灯質(白・赤・緑などの色)、一回光る(単閃)か数回(群閃)か、何秒周期かの組み合わせで、どこの灯台か特定する「灯台表」というのがあり、船乗りはそれを見ながら夜の海を進むそうだ。どの灯台近くはサンゴ礁が発達して座礁のおそれがあるから近づかない、などである。
 カニさんは水産高校卒で、航海の訓練も受けたそうで、なるほどそれで海にも星空にも詳しいのだ。できれば彼の星空解説も聞きたかった。
 助成金事業なので、旅の最後には意見交換とアンケート。雑草の生い茂っていた展望台が残念だったことを話すと、島の除草費用が年間わずかに六万円、ボランティアで刈っているけれど、なかなか手が回らないとのことだった。人口六百人の島は人材難、財政難。「島あっちぃ」は、島の素朴さや豊かな自然、美しさだけでなく、改めて離島の厳しさを学ぶ旅となった。
 アンケートの中に「小浜島の他に行ったことのある離島は?」という質問があり、私はそこに書かれていた39の離島のうち、22の島に〇。小浜島を入れると、これまで23の離島を訪ねたことになる。


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Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00 │会報がじまん