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2020年10月10日

がじまん第418号-1(Essay 439)

経済を回す
南ふう
 
 六月、新車に乗り替えた。リースである。
 前の車の定期検査で馴染みの車検屋さんを訪れたところ、七年だとかなり高額な下取りになるからと、リースを勧められた。ブレーキの踏み間違えと、障害物を認識してアシストしてくれる機能付きの軽自動車。そういう機能が必要な年頃だから、一〇年乗ったらリースに切り替えようと、前々から考えていた。
 一〇年経っていないのに決心したのには、理由がある。コロナ禍の今、少しでも経済を回したいという気持ちだ。私の経済活動など微々たるものだが、自動車産業やリース会社に少しでもプラスになるなら、できる範囲内の消費をしようと。
 この時期だから、おまけもたくさん付いた。カーナビ、ドライブレコーダー、お米一〇キロ。さらに福引で、納車時ガソリン満タンまで引き当てた。サポカー補助金の申請もした。
 新車になったよと友人に言うと「人生最後の車?」と聞かれ、考えたのちに「おそらく最後から二番目」と答えた。リース期間は七年、沖縄では車がないと行動の制約が大きいし、年々車の安全性能は向上するから、もう一回ぐらいは乗り替えるだろうと。もしかしたら十四年後には、自動運転が普通になっていて、さらにもう一回と欲張るかもしれない。
 おまけのカーナビは超便利。いや、便利なのはレンタカーで経験済みだが、天邪鬼の私は、カーナビに頼る人生なんか面白くないと、これまで突っ張っていたのだ。でもこの歳になると、地図ではなくナビの案内がすこぶる楽だと改めて思った。初めての場所に行くときなど、何と心強いことか。
 ところが、そんなアゲアゲ気分が一瞬にしてブルーに。
 仕事の帰途、渋滞でノロノロを繰り返し、止まっている時に、後ろからガサッという音。え、接触? ウソ、それって軽い追突ってこと? マジ?
 ちょっと待ってよ、乗り替えてまだ七日目だぞ!
 事故を起こした女性は、考え事をしていたそうだ。一〇〇パーセント相手が悪い。でも傷もないようだし……とお人好しの性格が出かけたが、心を鬼にすることに。
 リース契約をした車検屋さんにみてもらうと、バンパーに素人目には気づかないほどだが小さな凹みがあった。バンパー取り替えの見積を出してもらったところで、相手方の保険屋さんから電話があった。
すぐに誠意ある対応をしてくれた彼女にとっても災難だったけど、保険で対応できるわけだし、バンパー取り替えにかかる費用も経済を回すひとつだ。
 彼女は十五年乗っている愛車とのことだった。年齢的にも私とそう変わらないように見えたし、早くサポート機能付の車に乗り替えた方がいいかもよ。


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