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2020年12月10日

がじまん第420号-2(Essay 444)

 この度、沖縄エッセイスト・クラブの副会長に就任しました。長年にわたり当クラブに貢献してこられた前副会長の本村さんに感謝し、進んでいきます。

NHK・Eテレビの
『夏井いつきのよみ旅』沖縄編

ローゼル川田 

 ボクは俳句歴一〇年である。厳密に言うと三年程度であろう。一日一句ではなく三〇日に三句しか作ってないからである。それでもやめない理由は、社会規範の衣を脱ぎ捨てて、素の自分と向き合えるからである。自分以外のモノと向き合える世界を見つけて、感じて、一七音で表現することでその都度、自己の断片が見えてくるからである。もっとも短い短詩である。深呼吸した気分になる。いつでもどこでも鉛筆と紙切れが一枚あればよい。
 俳句の蘊蓄はさておき、昨年の八月、「夏井いつきのよみ旅」高知編を観た。NHK Eテレの全国放映だった。勝手に高知城をスポットライトで照らしているというユニークな投句者が登場したので大笑いした。何よりも夏井さんとのトークが絶妙でユーモアに溢れていた。民放テレビの「プレバト俳句」は俳句を作らない人たちにも親しまれている番組であり、毎回、登場者たちが作った俳句を吟味し辛口で容赦なく批評、添削してブラッシュアップする。
 番組では、痛快で的を得た添削と再構築に加えて庶民的で温もりのある人柄で多くのファンを魅了している。
今年の「夏井いつきのよみ旅」は沖縄編だと友人の俳人がチラシを持参して「投句して欲しい」と言った。ロケ地は①首里城②栄町市場③エイサー会館(沖縄市)の3カ所。事前に番組のディレクターが来沖し、番組の構成を説明した。沖縄には独自の「沖縄の季語」があるのでと『沖縄歳時記』の本を差し出し「使ってください」と言った。雑談している最中に突然ディレクターが「お願いがあります。番組の最中に選句した俳句の中に沖縄の季語が出た時だけ、横からスーッと画面に出て、季語の解説をして下さい。その時には、夏井さんが、呼びかけますから」。
 ぶっつけ本番の「夏井いつきのよみ旅」は始まった。
 本番の沖縄季語は「さがり花」「夜香木(じゅり花)」「ダカラヨー(季語ではない)」「青パパイヤ」「立ち雲」「片降い」「エイサー」「グソー」……。夏井さんがボクを呼ぶたびに、スーッと登場し解説をしていった。夏井さんとの断片トークに密かに喜びつつも感情を抑えて、無事終了した。放映後、ディレクターから「いい番組が出来ました。おかげさまで…」と感謝と喜びの声が届いた。同番組は三度も再放映があった。何よりも、夏井いつきさんの番組に微力ながら協力できたことや「俳句の種まき」に勤しんできた夏井さんの長年に渡る活動のひとコマを体感できたことが喜びだった。



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