2022年01月10日
がじまん第433号-1(Essay 469)
二つの時計
ふと気がつけば、2021年も残すところ10日余り。
「一年はあっという間だね~」病院の外来で、高齢者患者のセリフに心からうなずけてしまう今日この頃、「ジャネーの法則」を思い出した。「感じられる時間の長さは、年齢と反比例的な関係にある」フランスの哲学者ポール・ジャネーが発見したこの法則には多くの人が納得するようだ。一年の長さが変わるわけではないのに、なぜなのか?
5歳の子供と「感謝還暦」を昨年迎えた私とを比較してみるとわかりやすいかもしれない。5歳の子供にとっての一年はそれまでの人生の20%であるのに対し、61歳の私にとっての一年はそれまでの人生のたった1.64%。一年という単位の人生における割合が年々減っていくので、短く感じるというわけだ。毎日が新しい経験や発見に満ちている5歳と、日常生活を淡々と過ごす大人との違いもあるだろう。ここ二年程はコロナ対策にずーっと追われてきたという単調さも拍車をかけているのかもしれない。
「人生時計」をご存じだろうか? 「人生時計」では一生を一日に例えて、「年齢を3で割ったのが人生の時間」だというネット情報。提唱された計算式では、18歳は人生の6時、36歳は12時といった具合だ。その式に当てはめれば、私の人生時間は20時20分。もう少しで就寝時間!? いやいや、これは人生百年時代にそぐわない。年齢を4で割る計算式を採用すれば、人生時間は15時15分と、大幅に巻き戻すことができる。
はたと気が付いた。人生何歳まで生きるかの違いで、人生時間が変わってくる。長生きできる生活をすれば、自分の人生時計はきっと巻き戻せるのだ。
アメリカの科学誌「原子力科学者会報」が1947年から発表している「終末時計」は、人類滅亡の「地球最後の日」を午前零時とし、それまでの残り時間を象徴的に示す時計。核戦争などの危機が高まると針が進み、遠のくと戻るという。「終末時計」は、これまでに22回修正されているという。産業社会の発展は物質的な豊かさとともに、人類の滅亡への危機をも生み出してしまったが、今ならまだ終末時計が進むのを食い止めることができるかもしれない。
「人生時計」と「終末時計」二つの時計をリセットできるか否かは、これからの私たちの選択にかかっている。自分の命と地球の命、かけがえのない命を大切に、地球的規模で考え、日常的次元で行動する2022年としたい。Think globally, Act locally!
城所望
ふと気がつけば、2021年も残すところ10日余り。
「一年はあっという間だね~」病院の外来で、高齢者患者のセリフに心からうなずけてしまう今日この頃、「ジャネーの法則」を思い出した。「感じられる時間の長さは、年齢と反比例的な関係にある」フランスの哲学者ポール・ジャネーが発見したこの法則には多くの人が納得するようだ。一年の長さが変わるわけではないのに、なぜなのか?
5歳の子供と「感謝還暦」を昨年迎えた私とを比較してみるとわかりやすいかもしれない。5歳の子供にとっての一年はそれまでの人生の20%であるのに対し、61歳の私にとっての一年はそれまでの人生のたった1.64%。一年という単位の人生における割合が年々減っていくので、短く感じるというわけだ。毎日が新しい経験や発見に満ちている5歳と、日常生活を淡々と過ごす大人との違いもあるだろう。ここ二年程はコロナ対策にずーっと追われてきたという単調さも拍車をかけているのかもしれない。
「人生時計」をご存じだろうか? 「人生時計」では一生を一日に例えて、「年齢を3で割ったのが人生の時間」だというネット情報。提唱された計算式では、18歳は人生の6時、36歳は12時といった具合だ。その式に当てはめれば、私の人生時間は20時20分。もう少しで就寝時間!? いやいや、これは人生百年時代にそぐわない。年齢を4で割る計算式を採用すれば、人生時間は15時15分と、大幅に巻き戻すことができる。
はたと気が付いた。人生何歳まで生きるかの違いで、人生時間が変わってくる。長生きできる生活をすれば、自分の人生時計はきっと巻き戻せるのだ。
アメリカの科学誌「原子力科学者会報」が1947年から発表している「終末時計」は、人類滅亡の「地球最後の日」を午前零時とし、それまでの残り時間を象徴的に示す時計。核戦争などの危機が高まると針が進み、遠のくと戻るという。「終末時計」は、これまでに22回修正されているという。産業社会の発展は物質的な豊かさとともに、人類の滅亡への危機をも生み出してしまったが、今ならまだ終末時計が進むのを食い止めることができるかもしれない。
「人生時計」と「終末時計」二つの時計をリセットできるか否かは、これからの私たちの選択にかかっている。自分の命と地球の命、かけがえのない命を大切に、地球的規模で考え、日常的次元で行動する2022年としたい。Think globally, Act locally!
(2021・12・19)
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん