2022年10月10日
がじまん第442号-1(Essay 487)
ウチナーンチュ・ネットワーク
二〇〇一年、私は岸本建男名護市長と共にワシントンを訪れ、パウエル国務長官等、米国政府要人と沖縄基地問題について意見を交わした。その際、岸本市長が、アメリカの資産家から莫大な遺産を受け継ぎ、シンデレラボーイと言われた名護出身の島庄寛邸を訪れたいという。聞くと岸本氏が若い頃、島さんの料理店の皿洗いをしていたが、将来を見込まれたのか、破格の給料をもらい、南米を旅して回ったので、直接会ってお礼を言いたいと言う。
私も、父が沖縄海外協会会長として、ボリビア政府との交渉中、突如沖縄民政府より援助資金を打ち切り表明があり、慌ててワシントンに飛び、島さんの紹介で米国政府議会の有力者と会い、予算をつけて貰った話を聞いていたので、お礼を言うために同行した。
島さんは幼少時、父親の呼び寄せでハワイに移住した。青年期、ワシントン在住の大富豪ヘンダーソン氏に見込まれ、同家より大学に通っていた。その後、その人柄、才能を信頼され執事を任せられるまでになり、遺言で莫大な遺産を相続した。その間、ワシントン政官重要人とのパイプを作り上げ、それを故郷沖縄の為に活かした。
温厚な島さんの顔を眺めている中に、世界のウチナーンチュは、沖縄の宝であると、改めて感じた。
五年毎に沖縄では世界ウチナーンチュ大会が開かれ、世界各地から数千人のウチナーンチュが集まり、改めてそのアイデンティティーを確認する。英語、スペイン語、ポルトガル語が飛び交い、母国語は薄れていくが、空手・芸能・沖縄料理など、文化は形を変えつつも継承し続けている。
ただ親善交流の面については、感激するシーンも数多く見られるが、必ずしもビジネス面とは繋がっていないのが残念な気がする。中国の“華僑”は、世界的なネットワークを持ち、歴代の有力者もそれぞれ強いパイプを持っていると聞く。
世界中に広がるオキナワのアイデンティティーを大事にしているウチナーンチュ社会、この持てる情報・人脈を結びつけ、WUBを名実共に、世界に広がるウチナーンチュ・ビジネス・ネットワークとして構築する。国際化、情報化の時代にふさわしい「夢」と言えようか。
それが、同時に沖縄の飛躍発展に大きく繋がることを期待したい。
稲嶺惠一
二〇〇一年、私は岸本建男名護市長と共にワシントンを訪れ、パウエル国務長官等、米国政府要人と沖縄基地問題について意見を交わした。その際、岸本市長が、アメリカの資産家から莫大な遺産を受け継ぎ、シンデレラボーイと言われた名護出身の島庄寛邸を訪れたいという。聞くと岸本氏が若い頃、島さんの料理店の皿洗いをしていたが、将来を見込まれたのか、破格の給料をもらい、南米を旅して回ったので、直接会ってお礼を言いたいと言う。
私も、父が沖縄海外協会会長として、ボリビア政府との交渉中、突如沖縄民政府より援助資金を打ち切り表明があり、慌ててワシントンに飛び、島さんの紹介で米国政府議会の有力者と会い、予算をつけて貰った話を聞いていたので、お礼を言うために同行した。
島さんは幼少時、父親の呼び寄せでハワイに移住した。青年期、ワシントン在住の大富豪ヘンダーソン氏に見込まれ、同家より大学に通っていた。その後、その人柄、才能を信頼され執事を任せられるまでになり、遺言で莫大な遺産を相続した。その間、ワシントン政官重要人とのパイプを作り上げ、それを故郷沖縄の為に活かした。
温厚な島さんの顔を眺めている中に、世界のウチナーンチュは、沖縄の宝であると、改めて感じた。
五年毎に沖縄では世界ウチナーンチュ大会が開かれ、世界各地から数千人のウチナーンチュが集まり、改めてそのアイデンティティーを確認する。英語、スペイン語、ポルトガル語が飛び交い、母国語は薄れていくが、空手・芸能・沖縄料理など、文化は形を変えつつも継承し続けている。
ただ親善交流の面については、感激するシーンも数多く見られるが、必ずしもビジネス面とは繋がっていないのが残念な気がする。中国の“華僑”は、世界的なネットワークを持ち、歴代の有力者もそれぞれ強いパイプを持っていると聞く。
世界中に広がるオキナワのアイデンティティーを大事にしているウチナーンチュ社会、この持てる情報・人脈を結びつけ、WUBを名実共に、世界に広がるウチナーンチュ・ビジネス・ネットワークとして構築する。国際化、情報化の時代にふさわしい「夢」と言えようか。
それが、同時に沖縄の飛躍発展に大きく繋がることを期待したい。
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん