てぃーだブログ › 沖縄エッセイスト・クラブ › 会報がじまん › がじまん第7号

2003年01月15日

がじまん第7号

見るなら羊の夢がよい
島元巖

 初夢は、「一富士二鷹三なすび」がいいという。富士は日本一の霊山、鷹は最強の鳥、ナスビ(なす)は、成す(成就する)に通じるから縁起がいいという。しかし、私は、この年になるまで、この古典的な夢を、まだ見たことがない。見るなら羊の夢がいいと思っている。羊は「おとなしさ」の代名詞。協調と平和の象徴。
 ところで、目標(夢)を設定し、それから、それに到達するための、各過程ごとの、実践しやすい具体目標を立てる。その具体目標も単純なものがよい。目標(夢)が複雑すぎ、選択・実践にとまどうようなことは避けたい。多岐亡羊(岐路亡羊)に陥らないよう気を付けたい。あることに熱中するあまり、たいせつなものを失ってしまうような、読書亡羊も避けたいと考えている。
 それにしても、羊という動物は何とすごいものか。昔から、人間が理想とする普遍的な価値は、「真・善・美」だと説かれてきた。真なるものは善で、善なるものは美であるとも言われてきた。そして、この三つの感じの中に、羊の絡んだ字が二つもある。善と美の上の部分は「羊」だという。さらに「義」という漢字も羊と我とからできている。「義」とは、人として踏み行うべき道。
 羊は、常に「群れ」をなしている。だから、「群」という漢字の旁(つくり)も「羊」なんだろうと考えたりする。その群れを維持するためには、協調の精神や寛容の心が必要であろう。ざっと、こんな具合に、羊は人間の指標ともなる。温和な羊は、疲れ傷ついた人をも癒す。やはり、夢を見るなら羊の夢を見るがよい。
 未年は、私にとっても記念すべき年である。その未年を晴れやかに迎えた。何はともあれ、未年生まれ万歳! わが会員でいうと、一九一九年(大正八)生まれ、一九三一年(昭和六)生まれ、そして一九四三年(昭和十八)生まれ万歳!


タグ :島元巖

同じカテゴリー(会報がじまん)の記事

Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00 │会報がじまん