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2003年04月10日

がじまん第22号

続続・私の文章作法
儀間進

 (前号より)
 伝えたいことは、「地図は自己主張する」ことに決まった。問題は、それを読者にどうすれば理解してもらえるかである。そのためには、材料の配列、説明の仕方が重要になる。
 集まった材料で主張の根拠になるのは三種類。生徒の手書きの地図と日本版およびアメリカ版の世界地図、その外にオーストラリアとトルコの異色の地図があった。その三つを構成の柱として、残りは、それぞれを説明する補助的役割に当てることにする。
 世界地図は作成する国によってかなり違っている。日本版では、日本は中央にあるが、アメリカ版では右上片隅にあって、まさに極東という感じである。オーストラリアの地図は南極が上になっているし、どれも自国の視点から描いていることが分かる。生徒の描いた我が家の案内図にも、書き手の立場や性格が表れていた。
 それをどの順序で書いたらよいか。いきなり世界地図から入るのは硬い感じを与えるので、身近な手書きの地図を先にする。次は日本とアメリカの世界地図の違いについて、最後に風変わりな地図に触れることにする。でも、まだ骨組みであって文章に膨らみがないので、身近な事例や体験を織り込んで親しめるように工夫をする。
 本論に当たる部分はこれで出来上がった。あとは核になる文をどこに置くかである。結論を最初に書くと論文風になるので、軟らかい書き出しにして、伝えたいことは最後に書くことにした。
 地図を片手に訪ね歩くのが苦手という個人的なことをまず頭に振って、生徒の描いた地図で苦労した話につなぐ。終わりは、地球を平面に描くこと自体が一つの主張になるから、平面地図を捨てて地球儀を愛用しよう、と結んだ。書き出しが軟らかい分だけ、終わりをきりっと締めてみた。
 長い文章は、以上のような手立てで、私は書いている。


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