2006年11月15日
がじまん第113号
二割の法則
このところ職場での問題に、心身共に疲弊していた。大別すれば「1.書類の電子化問題」「2.レイアウト変更問題」「3.駐車場問題」である。
1と2は関連しあう。電子化は増え続ける書類への対処だが、同時に別の観点から、ホストコンピュータの移動を含む社内のレイアウト変更も提起されていた。
そんな時に突如発生したのが「駐車場問題」だった。今まで広い空き地を無償提供してくれていた方から、「九月中に土地を空けてくれないか」と言われたのである。総務に携わる私は、三週間以内に駐車場を確保しなければならなかった。不動産屋に当たっても目処が立たず路頭に迷いそうになったが、幸運にも農地を賃貸駐車場にしてもいいという近所の方と、交渉が成立。ただ必要な台数分を確保するために、大半は小型車サイズとなった。社員保有の車種を調べ、すべてが駐車できるかを確認。賃貸料金の八割会社補助も決まり、工事も始まった。
一件落着かと思いきや、そうは問屋が卸さなかった。「今まで社屋の駐車場に停めていた小型車は、屋外の賃貸駐車場に」との決定に異を唱える者が現れた。屋根つきの既得権を失いたくない抵抗勢力に、説得行脚。すると今度は、「屋根の有無、スペースの大小があるのに、駐車料金が同じなのは不公平」。これにも、料金に多少の差を付けることで不公平感を緩和した。
大げさにいうと、行政の苦労が少し分かった。万人に平等、万人が納得、という処置は、まずあり得ない。
ところで、テレビ番組で「二割の法則」というのを知った。生物は、一生懸命に働いているのは全体の二割だけだという。事実、働き者に見えるアリでさえ、八割はただウロウロして、働いているように見えるだけだった。番組は検証のため、園児を使った実験をしていた。遊んでいる園児に片付けを命じると、八割の子は遊び続け、真面目に従ったのは二割だけ。その片付け組を外に出すと、残った子の二割が片付けに転じた。これを繰り返しても、法則は崩れなかった。
二割の法則は、イギリスの経済学者によって発見され、元々は「パレートの法則」というそうだ。二割の客が会社に利益の八割をもたらしている、従業員の二割が会社の利益の八割に貢献している、などといった考え方の基本になる法則だという。
前述の三つの問題に対処する社員も、二割ほどだった。残りは何もしないか、文句を言うだけ。
ただ、だからこそ生物は滅びずに生存できるそうだ。もし社会の全てが働き者だったとすれば、競争激化社会となり、絶滅するという。
南ふう
このところ職場での問題に、心身共に疲弊していた。大別すれば「1.書類の電子化問題」「2.レイアウト変更問題」「3.駐車場問題」である。
1と2は関連しあう。電子化は増え続ける書類への対処だが、同時に別の観点から、ホストコンピュータの移動を含む社内のレイアウト変更も提起されていた。
そんな時に突如発生したのが「駐車場問題」だった。今まで広い空き地を無償提供してくれていた方から、「九月中に土地を空けてくれないか」と言われたのである。総務に携わる私は、三週間以内に駐車場を確保しなければならなかった。不動産屋に当たっても目処が立たず路頭に迷いそうになったが、幸運にも農地を賃貸駐車場にしてもいいという近所の方と、交渉が成立。ただ必要な台数分を確保するために、大半は小型車サイズとなった。社員保有の車種を調べ、すべてが駐車できるかを確認。賃貸料金の八割会社補助も決まり、工事も始まった。
一件落着かと思いきや、そうは問屋が卸さなかった。「今まで社屋の駐車場に停めていた小型車は、屋外の賃貸駐車場に」との決定に異を唱える者が現れた。屋根つきの既得権を失いたくない抵抗勢力に、説得行脚。すると今度は、「屋根の有無、スペースの大小があるのに、駐車料金が同じなのは不公平」。これにも、料金に多少の差を付けることで不公平感を緩和した。
大げさにいうと、行政の苦労が少し分かった。万人に平等、万人が納得、という処置は、まずあり得ない。
ところで、テレビ番組で「二割の法則」というのを知った。生物は、一生懸命に働いているのは全体の二割だけだという。事実、働き者に見えるアリでさえ、八割はただウロウロして、働いているように見えるだけだった。番組は検証のため、園児を使った実験をしていた。遊んでいる園児に片付けを命じると、八割の子は遊び続け、真面目に従ったのは二割だけ。その片付け組を外に出すと、残った子の二割が片付けに転じた。これを繰り返しても、法則は崩れなかった。
二割の法則は、イギリスの経済学者によって発見され、元々は「パレートの法則」というそうだ。二割の客が会社に利益の八割をもたらしている、従業員の二割が会社の利益の八割に貢献している、などといった考え方の基本になる法則だという。
前述の三つの問題に対処する社員も、二割ほどだった。残りは何もしないか、文句を言うだけ。
ただ、だからこそ生物は滅びずに生存できるそうだ。もし社会の全てが働き者だったとすれば、競争激化社会となり、絶滅するという。
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん