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2009年02月05日

がじまん第159号

囲碁の楽しみ
稲嶺惠一

 知事退任後、私は、主にボランティア業と講演業に取り組んでいる。
 その理由の一つは、私の人生は多くの方のご支援によって成り立ってきた。幾分たりとも、そのお返しをしたい。特に、次の世代に私の知識や経験を語り継ぐことによって、何人かでも発奮して貰えればとの思いである。
 しかし何時も、お呼びがかかる訳ではない。予定のない時は、大典寺近くの、囲碁サロン「親雲上」に顔を出している。
 囲碁は、元来、私の趣味の一つであったが、知事在任中全く打っていない。ただその間、万座ビーチでCSK(青園社長)杯国別対抗戦(日本、中国、韓国、台湾)が開かれ、私は名誉会長を引き受けた結果、五段位の免状が送られてきた。
 ところが十年振りで囲碁仲間と打ってみると負け続けである。この際、恥も外聞も捨て三段で打たして貰い、漸く最近、四段で打てるようになった。
 良く打つ相手は、新川清元沖縄タイムス社長(互先)喜納昌吉参議院議員(白、二手)比嘉良雄沖縄都市モノレール社長(先)大城常夫琉大名誉教授(先)等である。
 碁の面白さの一つは、相手の個性が棋風を通して見えてくることである。新川氏はボンボン打って来るが、いざと云う時、長考する。すると考えられない名手が出てくる。気の強さと精神力の強さの表れであろうか。
 喜納氏は、まるで初心者のような手を打つと思うと、独得のヒラメキであろうか、まるで神様が乗り移ってきたような妙手が出て来る。
 比嘉氏は、しっかりした行動信念を持って同じ様なパターンで攻めまくって来る。時々ポカが出るが、強気の性格、丸見えである。
 大城教授は、絶対に者を上げない。学者は自己の論理を、絶対と主張する癖が、碁にも出て来るのであろうか。
 ともかく、楽しい碁敵たちである。
 私は碁の格言も大好きである。特に「着眼大局、着手小局」の名句は、在任中、事ある毎に思い出し、目の前の小さな事を処理する際にも、その方向性、将来性を常に見据えて取り組んで来たつもりである。
 これからも、健康で長生きし、感謝の気持を持って、碁を打ち続けて行けるよう願っている。


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