2010年07月05日
がじまん第193号
ドンジャラ祭り
ロンドンに住む末の妹が、還暦の同期会に出席するため石垣島へ帰省する機に乗じて、ドンジャラ祭りをすることになった。
♪ 森の木陰でドンジャラホイ、シャンシャン手拍子足拍子……ホーイホーイよドンジャラホイ ♪
幼い頃から誰かに良い事があると、申し合わせたようにこの童謡が口をついて出たものだ。長じて我がきょうだい五人の集いを、ドンジャラ祭りと呼んでいる。
長女の私と末の妹とは十三歳の差があり、その間に一男二女、全員がシルバーになった。幹事はいつも次女と固定している。彼女はツアコン顔負けの日程作りの名人で、今回の複雑な二十四日間のコースも、格安チケットの購入から無料かそれに近い宿泊場所を見つけるなど大奮闘。何しろ五人の居住地がロンドン、千葉、那覇、石垣と広範囲に渡っているので、調整は容易ではなかった。
祭りのプロローグは実家の両親、先祖の墓参に始まり、変わり果てた思い出の場所を散策、ドライブ。その後は、ひねもす尽きぬお喋りばかり。年長の私は弟妹の知らざる両親のエピソードや戦中戦後、いかに弟妹の世話をしたかを恩着せがましく話す。同じ事を繰り返し話してもなぜか面白く、笑いが起きる。事あるごとに「命の恩人オネマ(お姉様を短縮してこう呼ぶ)に感謝」などと言って、美味しいものは先にくれたりする。
他愛のない話材だが、口調がいきなり五七五七七のリズムに乗ったりする。歌の心得など誰もないのに、誰ともなしに詠んだ歌がこれだ。
●妹の還暦祝ふと集ひ来しドンジャラの絆ゆるぎなく
●ガッハッハ談笑絶えぬドンジャラの和する姿父母(ちちはは)も見ゆ
祭りのクライマックスは那覇へ移動しての大宴会。ここでは連れ合いも入ってドンジャラ二世、三世がワイワイとそれこそドンジャラ騒ぎ。不参者もあったものの数えてみればイトコ・ハトコがなんと二十九人。ふれ合いが出来たことには意味があったと思われる。
エピローグの舞台は東京、そして熱海の離島初島(はつしま)。熱海港からフェリーで二十五分、周囲五キロ程の漁業の島で、和食が日本一美味しいという触れ込みに引かれた。島の中央にエキシヴという大きなホテルがデーンと建っていて、島はそのホテルの庭という印象だ。人口は漁師の家族百五十人と、後はホテルや民宿のスタッフだけだという。食事には捕れたての海の幸が毎食並ぶ。
この場に及んでも湧き出るお喋りがメイン。呆れるばかりだ。
●枕辺に潮騒聞きつつ語り合ふ至福かみしむ初島の夜
(旅の夢から覚めやらぬ気分が書かせた内輪話です。ご容赦を)
内間美智子
ロンドンに住む末の妹が、還暦の同期会に出席するため石垣島へ帰省する機に乗じて、ドンジャラ祭りをすることになった。
♪ 森の木陰でドンジャラホイ、シャンシャン手拍子足拍子……ホーイホーイよドンジャラホイ ♪
幼い頃から誰かに良い事があると、申し合わせたようにこの童謡が口をついて出たものだ。長じて我がきょうだい五人の集いを、ドンジャラ祭りと呼んでいる。
長女の私と末の妹とは十三歳の差があり、その間に一男二女、全員がシルバーになった。幹事はいつも次女と固定している。彼女はツアコン顔負けの日程作りの名人で、今回の複雑な二十四日間のコースも、格安チケットの購入から無料かそれに近い宿泊場所を見つけるなど大奮闘。何しろ五人の居住地がロンドン、千葉、那覇、石垣と広範囲に渡っているので、調整は容易ではなかった。
祭りのプロローグは実家の両親、先祖の墓参に始まり、変わり果てた思い出の場所を散策、ドライブ。その後は、ひねもす尽きぬお喋りばかり。年長の私は弟妹の知らざる両親のエピソードや戦中戦後、いかに弟妹の世話をしたかを恩着せがましく話す。同じ事を繰り返し話してもなぜか面白く、笑いが起きる。事あるごとに「命の恩人オネマ(お姉様を短縮してこう呼ぶ)に感謝」などと言って、美味しいものは先にくれたりする。
他愛のない話材だが、口調がいきなり五七五七七のリズムに乗ったりする。歌の心得など誰もないのに、誰ともなしに詠んだ歌がこれだ。
●妹の還暦祝ふと集ひ来しドンジャラの絆ゆるぎなく
●ガッハッハ談笑絶えぬドンジャラの和する姿父母(ちちはは)も見ゆ
祭りのクライマックスは那覇へ移動しての大宴会。ここでは連れ合いも入ってドンジャラ二世、三世がワイワイとそれこそドンジャラ騒ぎ。不参者もあったものの数えてみればイトコ・ハトコがなんと二十九人。ふれ合いが出来たことには意味があったと思われる。
エピローグの舞台は東京、そして熱海の離島初島(はつしま)。熱海港からフェリーで二十五分、周囲五キロ程の漁業の島で、和食が日本一美味しいという触れ込みに引かれた。島の中央にエキシヴという大きなホテルがデーンと建っていて、島はそのホテルの庭という印象だ。人口は漁師の家族百五十人と、後はホテルや民宿のスタッフだけだという。食事には捕れたての海の幸が毎食並ぶ。
この場に及んでも湧き出るお喋りがメイン。呆れるばかりだ。
●枕辺に潮騒聞きつつ語り合ふ至福かみしむ初島の夜
(旅の夢から覚めやらぬ気分が書かせた内輪話です。ご容赦を)
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん