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2011年05月05日

がじまん第213号

ショートショート二題
新城静治

公認されただましのテクニック
 最近コマーシャルの質が変わってきた。テレビショッピングの影響だろうか。もっともらしい口調や、説得力ある体験談のようなパターンが増えている。以前は派手な映像や音声で、瞬間的に目や耳に焼き付けられてしまう感じがした。ただ誰もが嘘くさいと思い誇張だと分かるもので、だまされている感覚はなかった。
 ところが今は違う。無防備に見ていると、信じてしまいそうになる。自分の知識や経験をもとに、必要性とコストパフォーマンスを勘案する必要がある。
 以下は客観的に判断する例だ。

*個人の感想を示すものであり、効能を示すものではありません
     → 効かなくても責任はとらない
*今なら9800円でもう一個、いや、二個お付けして三個!
     → はじめから三個で9800円

ウジ虫よ、お前もか
 数年前、職場で残飯とシュレッダーの紙片を混ぜて堆肥作りに取り組んだことがある。しかし、大変な労力と、悪臭や大発生するウジ虫対策を克服できなかったため、一年で挫折した。
 組織的な取り組みはあきらめ、現在は細々と自宅で生ゴミ堆肥作りに励んでいる。それでも悪臭とウジはつきもので、これらが苦手という人には堆肥作りは勧められない。
 みんなから忌み嫌われているウジだが、観察すると面白い。その時、意外な発見をした。今までウジはハエの幼虫とばかり思っていたが、最近目につくウジはそうではなかった。アメリカミズアブという体長が二センチほどの、黒光りするアブの幼虫だ。腐敗物の中で、ウジの大半を占め、しかも他のウジより大きい。沖縄戦で、米軍とともに上陸したらしい。
 このアメリカミズアブの成虫は、花の蜜を吸っているという。ハウス栽培のマンゴー農家では、魚のはらわたなどを腐敗させ、そこに発生したミズアブに、ミツバチ代わりに受粉させていると、聞いたことがある。
 モゾモゾうごめいているウジを見ていると、隅に追いやられているハエの幼虫たちに、「頑張れ、アメリカに負けるな!」と、エールを送りたくなる。


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