2014年03月20日
がじまん第282号
草花の不思議な生命力
草花は同じ場所でじっと静かに生きているように見える。しかしよく観察すると、様々な方法で生きる範囲を広げ、子孫を増やすため動いている。
その一例がタンポポだ。自宅庭にも植えてはいないタンポポの花が咲きだしている。また、西原運動公園の約一.三キロのウォーキングコース沿いにも咲いている。タンポポは私の好きな野の花の一つ。ぽつりと咲いている姿には気品がある。また集団で咲いているタンポポや真っ白な丸い綿帽子をかぶっているタンポポも捨てがたい魅力がある。
ウォーキングの最後の一周は、私はユックリ、よそ見をしながら歩くことにしている。いろいろおもしろい発見があるからだ。タンポポは花が咲き終わり、綿帽子をかぶった種が熟するまでには、花茎が咲いている時の二倍から三倍以上にも伸びる。驚きである。不思議に思い、支柱で測り、巻き尺で測るなど、いろいろな場所のタンポポで確かめた。やはり種ができるまでの間に、花茎は伸び続けるのだ。なぜ。動かないタンポポが、風にのせてより遠くへ、より広く種をまくためではないか。きっと長い年月をかけて獲得した種族保存本能なのだろう。感心するばかりだ。
一つのタンポポの花からは一〇〇を超える種ができる。一つの種には、笠を逆さにしたような冠毛がついていて、息を吹きかけたり、風が吹くと落下傘のようにふわりふわりより遠くへ種を拡散させる仕組みになっている。動かないタンポポが子孫をふやす知恵なのだ。
私が得意げに花茎が伸びる話を小学生の孫にすると理科で習ったとにべもない。それでも、人生の午後を生きる私には大発見だ。ユックリあたりを見渡す余裕ができ、タンポポのサバイバル術に気付いた自分を誉めよう。もう一つの身近な草花、白や黄色やピンクの花を咲かす「はなすだれ」も同じサバイバル術を持っている。花が咲き終わり種が熟するまでには、花茎が二倍以上伸びる。種を収めた三角形の頭には三つの房があり、一つの房に一〇個以上の平たい黒い種が入っている。
種がはじけると、風にも乗って遠くまで飛ばされる。やはり、花茎が長い方がより遠くまで飛ばせる。自宅前のブロック壁とアスファルト道のわずかな隙間にも種が入り込んだのか、あちこちで芽を出して黄色やピンクの花を咲かせている。「はなすだれ」は、球根でも子孫を増やせるしたたかさも持ち合わせる。
こうした観察ができるのは、スローライフの人生の午後であればこそ。濡れ縁に座っているだけで、外をユックリ散歩するだけで草花と風、 小鳥、昆虫との共生・協同する姿もよく見えてくる。今まで気づかずにいた足元の草花の生命の神秘を覗きみる心躍らせる発見をさせてくれた自然の創造主に感謝。
大城常夫
草花は同じ場所でじっと静かに生きているように見える。しかしよく観察すると、様々な方法で生きる範囲を広げ、子孫を増やすため動いている。
その一例がタンポポだ。自宅庭にも植えてはいないタンポポの花が咲きだしている。また、西原運動公園の約一.三キロのウォーキングコース沿いにも咲いている。タンポポは私の好きな野の花の一つ。ぽつりと咲いている姿には気品がある。また集団で咲いているタンポポや真っ白な丸い綿帽子をかぶっているタンポポも捨てがたい魅力がある。
ウォーキングの最後の一周は、私はユックリ、よそ見をしながら歩くことにしている。いろいろおもしろい発見があるからだ。タンポポは花が咲き終わり、綿帽子をかぶった種が熟するまでには、花茎が咲いている時の二倍から三倍以上にも伸びる。驚きである。不思議に思い、支柱で測り、巻き尺で測るなど、いろいろな場所のタンポポで確かめた。やはり種ができるまでの間に、花茎は伸び続けるのだ。なぜ。動かないタンポポが、風にのせてより遠くへ、より広く種をまくためではないか。きっと長い年月をかけて獲得した種族保存本能なのだろう。感心するばかりだ。
一つのタンポポの花からは一〇〇を超える種ができる。一つの種には、笠を逆さにしたような冠毛がついていて、息を吹きかけたり、風が吹くと落下傘のようにふわりふわりより遠くへ種を拡散させる仕組みになっている。動かないタンポポが子孫をふやす知恵なのだ。
私が得意げに花茎が伸びる話を小学生の孫にすると理科で習ったとにべもない。それでも、人生の午後を生きる私には大発見だ。ユックリあたりを見渡す余裕ができ、タンポポのサバイバル術に気付いた自分を誉めよう。もう一つの身近な草花、白や黄色やピンクの花を咲かす「はなすだれ」も同じサバイバル術を持っている。花が咲き終わり種が熟するまでには、花茎が二倍以上伸びる。種を収めた三角形の頭には三つの房があり、一つの房に一〇個以上の平たい黒い種が入っている。
種がはじけると、風にも乗って遠くまで飛ばされる。やはり、花茎が長い方がより遠くまで飛ばせる。自宅前のブロック壁とアスファルト道のわずかな隙間にも種が入り込んだのか、あちこちで芽を出して黄色やピンクの花を咲かせている。「はなすだれ」は、球根でも子孫を増やせるしたたかさも持ち合わせる。
こうした観察ができるのは、スローライフの人生の午後であればこそ。濡れ縁に座っているだけで、外をユックリ散歩するだけで草花と風、 小鳥、昆虫との共生・協同する姿もよく見えてくる。今まで気づかずにいた足元の草花の生命の神秘を覗きみる心躍らせる発見をさせてくれた自然の創造主に感謝。
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 19:19
│会報がじまん