2016年11月05日
がじまん第345号
地道にコツコツ
亡父に「出しゃばって夫より前に出るな」と釘を刺され、前線で戦うことを避け、目立たないよう生きてきた。職場も職種も転々とし、スペシャリストでもなければ管理職についたこともない。住居さえ転々とせざるを得ない流浪の半生だったが、与えられた仕事は嫌がらず、コツコツこなしてきた自負はある。
必要なスキルもその都度、地道に身に付けてきた。グラフィックデザイナーをしていた時には、パソコンでのデザインやDTP。会社のホームページを作るよう指示されれば、WEBデザイン。事務職では、書類の整理や電子ファイリング。パソコンを触り始めたのは平成元年、デジタルカメラも二十世紀末には扱い始めるなど、電子機器も毛嫌いせず早くからなじんだ。
プライベートで、琉球・沖縄の歴史に興味を持ち始めたのは今世紀に入ってから。あれこれつまみ食いのように歴史講座などを受けていたが、二〇〇八年に始まった「沖縄大好き検定」を受験し、翌年ぎりぎり二級に昇級。残念ながらその後この検定は、運営がうまくいかずに消滅してしまったが。また運動不足を解消しようと社交ダンスを習い始めたのは、二〇一〇年。地道に週一のレッスンだ。
勤務していた会社が創立四〇周年を迎えるにあたっては、記念誌の編集を担当した。その時に社のOBの方々からお話を伺い、「人々の生きた証」を残していきたいという夢が芽生えた。手始めに亡父の生誕百年かつ十三回忌に合わせ、父の物語を書いてみた。
会社のホームページ作成のため、練習用にと始めた自分のホームページは、十年後にブログに移行し、書き癖をつけるために続けて七年。そのブログを読んだ高校の同期生が、「歴史が好きなら、県の公文書館で募集があるよ。ハローワークの求人情報に注意していて」と、電話をくれた。彼は、昨年催された還暦同期会に「サプライズで社交ダンスを披露しよう」と誘ってくれた人で、なんと彼の奥様が公文書館の館長をされていて、その情報をいち早く私にくれたのだった。
書類選考と面接を経て、公文書館の嘱託員に採用してもらえた私は、いま若い人たちと一緒に、喜々として仕事に没頭している。「琉球政府文書デジタルアーカイブ事業」という仕事で、TIFF、JPEG2000、ハイパーリンク、オープンシードラゴンなどという用語に臆することなく、終日パソコンに向かい、「人々の生きた証」が詰まった公文書に目を通している。
コツコツとした歩みがすべて今に繋がっていることに、驚きと感謝の日々なのである。
南ふう
亡父に「出しゃばって夫より前に出るな」と釘を刺され、前線で戦うことを避け、目立たないよう生きてきた。職場も職種も転々とし、スペシャリストでもなければ管理職についたこともない。住居さえ転々とせざるを得ない流浪の半生だったが、与えられた仕事は嫌がらず、コツコツこなしてきた自負はある。
必要なスキルもその都度、地道に身に付けてきた。グラフィックデザイナーをしていた時には、パソコンでのデザインやDTP。会社のホームページを作るよう指示されれば、WEBデザイン。事務職では、書類の整理や電子ファイリング。パソコンを触り始めたのは平成元年、デジタルカメラも二十世紀末には扱い始めるなど、電子機器も毛嫌いせず早くからなじんだ。
プライベートで、琉球・沖縄の歴史に興味を持ち始めたのは今世紀に入ってから。あれこれつまみ食いのように歴史講座などを受けていたが、二〇〇八年に始まった「沖縄大好き検定」を受験し、翌年ぎりぎり二級に昇級。残念ながらその後この検定は、運営がうまくいかずに消滅してしまったが。また運動不足を解消しようと社交ダンスを習い始めたのは、二〇一〇年。地道に週一のレッスンだ。
勤務していた会社が創立四〇周年を迎えるにあたっては、記念誌の編集を担当した。その時に社のOBの方々からお話を伺い、「人々の生きた証」を残していきたいという夢が芽生えた。手始めに亡父の生誕百年かつ十三回忌に合わせ、父の物語を書いてみた。
会社のホームページ作成のため、練習用にと始めた自分のホームページは、十年後にブログに移行し、書き癖をつけるために続けて七年。そのブログを読んだ高校の同期生が、「歴史が好きなら、県の公文書館で募集があるよ。ハローワークの求人情報に注意していて」と、電話をくれた。彼は、昨年催された還暦同期会に「サプライズで社交ダンスを披露しよう」と誘ってくれた人で、なんと彼の奥様が公文書館の館長をされていて、その情報をいち早く私にくれたのだった。
書類選考と面接を経て、公文書館の嘱託員に採用してもらえた私は、いま若い人たちと一緒に、喜々として仕事に没頭している。「琉球政府文書デジタルアーカイブ事業」という仕事で、TIFF、JPEG2000、ハイパーリンク、オープンシードラゴンなどという用語に臆することなく、終日パソコンに向かい、「人々の生きた証」が詰まった公文書に目を通している。
コツコツとした歩みがすべて今に繋がっていることに、驚きと感謝の日々なのである。
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん