2017年03月05日
がじまん第353号
アナログもデジタルも
調べ物でインターネットを使うことは多いが、アナログも素晴らしい。
過日、戦前名護にあった専売局の場所を調べたくて、浦添市立図書館へ。母方の祖父が大正末期に勤務していたと思われる場所だ。顔見知りの司書さんが、名護の歴史の本を何冊か持ってきてくれた中の一冊に、「名護大通り周辺の商店等の分布」という図があった。ヒンプンガジマルから名護十字路にかけての、昭和七年頃の様子が描かれている。
名護大通りの山側には、そば屋や菓子店、床屋、銭湯などがずらりと並び、自転車や自動車の店もある。海側はどちらかといえば官庁街で、警察署、署長官舎、興行銀行などがある。公営市場もあり、その周辺には料亭も多い。海岸線は「大正年間に埋土拡張した海岸線」とあり、今の国道58号あたりまで埋め立てて街を広げていた。つまり明治の頃までは58号より内陸も海だったわけで、名護大通りが湾曲していることに納得する。そして私は大通りと海岸線のなかほどに、「専売局」という文字を見つけることができたのだった。
この司書さん、いつもきちっと要望に応えてくれ、この図書館にない場合でも他の図書館に、その場で問い合わせてくれる。いまの時代、インターネットで図書館横断検索もできるから、借りたい本を検索して県内のどの図書館に蔵書があるかを知ることができるが、書籍名を知らない場合など、マンツーマンで質問でき即対応してくれる司書さんは、ほんとにありがたい。
ところでアナログは温もりを感じるけれど、デジタルはどうも、という人もいるだろう。でもけっしてそんなことはない。たとえば沖縄県立図書館には、インターネットを介して質問に回答してくれるリファレンスサービスがある。即答ではなく日数はかかるが、司書の方がとても丁寧に調べて、それに関する本などを紹介してくれる無料のサービスだ。
さらに番外的なことだが、宮内公文書館というところにメールで問い合わせていた私は、台湾にある研究所の検索システムを紹介してもらえた。台湾総督府に関する研究は、日本より台湾の方がはるかに進んでいた。台湾総督府職員の名簿も閲覧でき、祖父が台湾の専売局に転勤になった年、異動先、職位なども知ることができたのである。
台湾まで出かけることなく、自宅で外国のデータベースを活用できる便利な時代。でもその検索システムに、コツコツと入力してデータベースを構築しているのは「人」。デジタルの時代でも、根底にあるのは、やはりアナログの力だと実感する。
南ふう
調べ物でインターネットを使うことは多いが、アナログも素晴らしい。
過日、戦前名護にあった専売局の場所を調べたくて、浦添市立図書館へ。母方の祖父が大正末期に勤務していたと思われる場所だ。顔見知りの司書さんが、名護の歴史の本を何冊か持ってきてくれた中の一冊に、「名護大通り周辺の商店等の分布」という図があった。ヒンプンガジマルから名護十字路にかけての、昭和七年頃の様子が描かれている。
名護大通りの山側には、そば屋や菓子店、床屋、銭湯などがずらりと並び、自転車や自動車の店もある。海側はどちらかといえば官庁街で、警察署、署長官舎、興行銀行などがある。公営市場もあり、その周辺には料亭も多い。海岸線は「大正年間に埋土拡張した海岸線」とあり、今の国道58号あたりまで埋め立てて街を広げていた。つまり明治の頃までは58号より内陸も海だったわけで、名護大通りが湾曲していることに納得する。そして私は大通りと海岸線のなかほどに、「専売局」という文字を見つけることができたのだった。
この司書さん、いつもきちっと要望に応えてくれ、この図書館にない場合でも他の図書館に、その場で問い合わせてくれる。いまの時代、インターネットで図書館横断検索もできるから、借りたい本を検索して県内のどの図書館に蔵書があるかを知ることができるが、書籍名を知らない場合など、マンツーマンで質問でき即対応してくれる司書さんは、ほんとにありがたい。
ところでアナログは温もりを感じるけれど、デジタルはどうも、という人もいるだろう。でもけっしてそんなことはない。たとえば沖縄県立図書館には、インターネットを介して質問に回答してくれるリファレンスサービスがある。即答ではなく日数はかかるが、司書の方がとても丁寧に調べて、それに関する本などを紹介してくれる無料のサービスだ。
さらに番外的なことだが、宮内公文書館というところにメールで問い合わせていた私は、台湾にある研究所の検索システムを紹介してもらえた。台湾総督府に関する研究は、日本より台湾の方がはるかに進んでいた。台湾総督府職員の名簿も閲覧でき、祖父が台湾の専売局に転勤になった年、異動先、職位なども知ることができたのである。
台湾まで出かけることなく、自宅で外国のデータベースを活用できる便利な時代。でもその検索システムに、コツコツと入力してデータベースを構築しているのは「人」。デジタルの時代でも、根底にあるのは、やはりアナログの力だと実感する。
Posted by 沖縄エッセイスト・クラブ会員 at 00:00
│会報がじまん